あらゆる事業活動において顧客との関係性の構築は生命線であり、そのための情報システムがCRM(Customer Relationship Managemernt)です。CRMは、現に取引がある相手だけではなく、見込み客やコンタクトの履歴など、顧客との関係性の構築・維持を支援します。CRMは顧客管理と訳されることが多いのですが、こうした役割から「顧客関係性管理」と呼んだほうが適切だと思われます。
小規模事業者や個人事業主などは、「多くの顧客を相手にはしていないから、自分たちには必要ない」という方も少なくありません。しかし、長く事業活動を続けたり、プロモーションを行ったりしていくうちに、自分たちが考えていた以上に多くの相手と接触してきたことに気付くでしょう。そうしたときに必要となる情報システムがCRMなのです。
CRMには高価なものが多いのですが、基本機能を無料で利用できるクラウドサービスもあります。当事務所では、お客様にZoho CRMをご紹介しています。
Zoho CRMの無料プランは、データの上限が25,000件、ユーザー数の上限が10名で、データ項目のカスタマイズができないといった制限がありますが、小規模事業者や個人事業主には十分なことも多いでしょう。プランの一覧表は日本法人のサイトに概略があり、正確なところはグローバルサイトに示されています
Zoho CRMを利用する場合、注意点がひとつあります。利用開始直後は最上位のエンタープライズ版のトライアルになっているので、あらゆる機能が使えますが、無料版を含めた他のグレードで使うことを考えている場合には、そのグレードで使える機能かどうかを意識して確認してください。たとえば、メールの一括送信や、前述した、データ項目のカスタマイズは、無料プランでは使えません。
CRMに加えて、Zoho社は企業活動に必要な数多くのクラウドサービスを提供しており、そのすべてのサービスが基本機能を無料で提供してます。本サイトで紹介してきたZoho SitesやZohoメールも、Zohoのサービスラインナップに含まれています。
無料サービスというと訝る向きもあるかもしれませんが、「基本機能が無料」を読み替えれば「無料で利用できる範囲には制限がある」という意味ですから、有料プランへ誘導する仕掛けがあり、有料利用者が支払う費用で無料利用者にかかる費用も賄うビジネスモデルとなっています。こうしたビジネスモデルを、フリー(無料)とプレミアムを組み合わせた造語でフリーミアムと呼びます。
Zohoのサービスラインナップはすべて日本語化されているわけではなく、Zoho Sitesのように、英語版のままで提供されているサービスもあります。ユーザインタフェースやマニュアルは英語でも、日本語を扱うことには問題ありませんので、安心して使えます。
なお、Zoho CRMをベースとして、富士ゼロックス社がSkyDesk CRMを提供しています。ZohoとSkyDeskではサービスのラインナップが異なるので、どちらを選択するかは利用したいサービスに応じて判断するとよいでしょう。