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クラウド会計サービスで経理業務を劇的に効率化する

日常の業務が当然だと思っていると、そこに大きな改善余地があったとしても見過ごしてしまいます。当事務所でも、確定申告に大変な手間暇をかけていましたが、当然必要な工数だと思い込んでいた記帳を劇的に効率化させることができました。その方法は、クラウド会計サービスを利用することです。

自動化で記帳を劇的に効率化

経理で一番大変なのは、やはり記帳作業です。仕訳はパターン化していくので、それほど大変ではありませんが、記帳は数が多いので大変です。銀行、クレジットカード、それにPayPalなどの決済サービスの口座に対する入出金記録と突き合わせながら記帳していくのは、非常に手間暇がかかります。

しかし、記帳そのものは必ず行うべき作業ですので、その工数が必要不可欠であると織り込まれていれば、改善余地のある作業だとみなされません。言わば、メンタルブロックで目が曇っていることになります。

金融機関などとの自動同期

クラウド会計サービスを使うと、各口座の入出金記録を自動的に取得し、それをもとに記帳していくことが可能です。しかも、入出金記録に基づいて自動的に仕訳してくれます。推測してくれる場合もありますが、記帳結果に基づいて仕訳ルールを自動作成することも可能です。

当然ながら、銀行については、オンラインバンキングの契約が前提となります。ご利用の銀行によっては、自動同期の対応外の場合があるので、ご注意ください。

自動連携機能はデスクトップアプリケーションにもありますが、アプリケーションを起動しているときにしか同期されません。この同期は、意外に時間がかかります。一方、クラウド会計サービスでは、PCやアプリケーションの起動とは無関係に、定期的に口座情報を取得してくれます。記帳しようと思ったときには、必要なデータがそろっている訳です。常に同期している訳ではありませんが、必要ならば明示的に同期させることができるので、実用上は問題ありません。

モバイル機器での経理作業

会計データがクラウド上にあるので、スマートフォンやタブレットといったモバイル機器からも使用できます。外出先でも記帳したり修正したりできますし、自宅でもPCに向かわずに経理作業を行うことができます。

個人事業や1人社長の場合には、外出先での記帳は、現金での支払いや交通系ICカードで支払った交通費など、金融機関を介さない取引の登録に便利です。

請求書処理

請求書の発行は案外手間のかかる作業で、発生主義であれば、請求書発行時に売り上げを立てることになります。また、入金時には売掛金を消し込む必要があります。

従来の会計ソフトでは請求書の発行は記帳の外にある作業ですが、業務全体として考えれば、請求書の発行に伴う売上計上と入金時の売掛金の消し込みは経理作業として捉えるのが妥当です。これらの扱いはサービスによって異なりますが、クラウド会計サービスでは請求書に対するサポートがあります。

ヘルプとサポートサービスの充実

クラウド会計サービスでは、インターネットのサービスがそうであるように、セルフサポートが基本です。提供者はサポートコストを低減させる必要があり、提供者自身によるサポート情報が充実しています。契約によりますが、メールやチャットによるサポートも受けることができます。

記帳方法の違い

クラウドサービスなのでデスクトップアプリケーションとの違いがあるのは当然としても、設計思想の違いから、移行した際には違和感があると思います。とくに仕訳入力に慣れていると、やよいの青色申告オンライン以外のクラウド会計サービスでの記帳に戸惑うでしょう。ただ、やよい以外の会計サービスでも仕訳表示はできますし、慣れの問題だと割り切って考えるのがよいと思います。

当事務所ではfreeeを選択

クラウド会計サービスの利点について述べましたが、実際に移行するには、どのサービスを利用するかを決めなければなりません。参考のため、当事務所の事例をご紹介します。当事務所は個人事業なので、個人事業主向けのサービスを比較検討していますが、法人の場合でも事情は変わりません。

当事務所ではfreeeを選択しました。検討したのは、やよいの青色申告オンラインMFクラウド確定申告、そしてfreeeの3つです。各サービスに対する評価について、概略を説明します。

やよいの青色申告オンライン

2013年に開業してから「やよいの青色申告」デスクトップ版を使っていましたので、最初は他のサービスを検討することもなく、やよいの青色申告オンラインへの移行を進めました。
やよいの青色申告デスクトップ版で平成28年(2016年)のデータをエクスポートし、スムーズに移行が進んだかに思えたのですが、いくつか難点がありました。

  1. 「適用」欄に記入できる文字数が少ない
    • 移行したデータには、「適用」が途中で切り詰められているものがある
  2. MacBook Air(11インチ)での使い勝手がよくない
    • Mac標準のキーボードショートカットが使えない
    • 画面を有効に使えない
      たとえば、仕訳一覧を表示すると、概ね下半分しか使えない
    • MacのSafariで利用すると「ブラウザがサポート対象外」という警告が出る
      サポート対象にmacOS sierraがあるにも関わらず、この警告がなくならない
  3. アプリの機能に制限がある
    • 入力済みの取引をアプリで編集できない
  4. 金融機関との連携機能が使いづらい
    • 口座自動連携ツールがWindows専用である
    • Macでは種々の連携アプリを介して金融機関と連携させる必要があり、管理の手間が増す
  5. 請求書は別のサービスで扱う
    • 入金時には交通費や源泉所得税等の仕訳を行う必要があり、請求書を含めて扱えることが望ましい

平成28年分(2016年分)については、すでに入力済みでもあり、やよいの青色申告オンラインで申告することにしました。後述しますが、他のクラウド会計サービスに移行するにしてもデータ移行の問題があり、また各サービスに合わせて適切に使う必要があるからです。「適用」が切れてしまう問題については、手作業で対応しました。

MFクラウド確定申告

MFクラウド確定申告は、家計簿アプリ「マネーフォワード」の運営会社が提供する、個人事業向けのクラウド会計サービスです。

これは悪くないと思うのですが、請求書や入金消込等が別のサービスとなるところが気になりました。価格的にも割高になります。

個人の資金管理にマネーフォワードを利用しているので、できればMFクラウド確定申告を使いたいところでしたが、別のサービスを使うという点が引っかかって、採用を見送りました。

freee

当事務所ではfreeeを選択した訳ですが、評価したポイントはfreee自体で金融機関との連携や請求書処理ができることです。金融機関との連携では、入出金情報が定期的に自動取得されますが、必要であれば手動で即時同期させることもできます。請求書を発行した際には、発生主義で売上が立ち、売掛金として扱われます。請求書の内訳が記録されるので、入金時の消し込みでは、自動的に適切な仕訳が行われます。

freeeのオンラインヘルプは充実しており、またチャットサービスが使えることもメリットです。メールでの問い合わせも可能ですが、スタータープランの場合は返信までに2-3稼働日を要するので、本当に困ったときにはネットで参考情報を探した方が得策だと思われます。

終わりに

経理は必要不可欠ですが、クラウド会計サービスを導入することにより、経理にかかる作業を劇的に効率化することが可能です。もちろん、やり方を変更する訳ですから導入するのには工数が必要ですが、その労力に対する見返りは十二分にあります。個人事業主や1人社長はもちろんのこと、専任の経理担当者がいる場合でも、クラウド会計サービスの導入で業務を大幅に効率化することが可能です。

なお、当事務所ではやよいの青色申告オンラインではなくfreeeを採用しましたが、 Windowsでの利用がメインであれば、また結果が変わっていたかもしれません。Mac、それも画面の小さい11インチのMacBook Airと、モバイル機器での利用が多いことも、freeeの採用に影響しています。

クラウド会計サービスの導入にご興味のある方は、遠慮なくご相談ください。

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